平戸城は、平戸島北部にあり、平戸港を見下ろし、対岸の九州本土を望む平戸瀬戸に突き出た丘陵上にある。 三方を海に囲まれ天然の堀としている。丘陵の頭頂部に本丸が築かれ、その南側に二の丸、東側に三の丸が配された梯郭式平山城である。
　安土桃山時代の末期に、豊臣秀吉の九州平定に加わった松浦鎮信（法印）が、壱岐守護の波多氏に代わり、松浦群と壱岐一国の所領を安堵された。慶長4年(1599年)に最初の築城を開始したが関ヶ原の戦いの頃に徳川家康からの嫌疑を晴らすために破却したと伝わる。その後は、平戸港の北側に居館を構え平戸藩の藩庁とした。江戸時代中期の元禄16年(1703年)になって再建された。天守は上げられず、二の丸に建てた三重三階の乾櫓をその代用としていた。再建にあたっては山鹿素行の軍学に沿って縄張りがなされたという。平山城では唯一の山鹿流による城郭である。
　藩庁のあった場所には、明治時代に旧藩主松浦氏の私邸が築かれ、現在は松浦史料博物館となっている。