初夏の尾瀬ヶ原と高山植物の咲く至仏山

今回は尾瀬に詳しい方の案内で至仏山へ登ります。山の鼻への下山が禁止になっているので、こちらからのコースで登るのは本当に久しぶりです。距離があり一日では難しいので、山の鼻で前泊して至仏に登る計画です。そのため前日は鳩待峠から入り、尾瀬ヶ原を半分ほと歩いてから、山小屋で落ち合う予定です。 　この季節の尾瀬ヶ原はワタスゲシーズンのため山は静かです。初夏の花が咲きだす前で花の種類は少なめです。今回は東電小屋まで行ってこようと思います。鹿の食害でニッコウキスゲが減少していますが、そのコースはまだ残されているという話しでした。 　至仏山は７月1日に山開きをした後なのでそれなりに混雑する季節です。雪解け直後の花が一斉に咲き出す季節でもあります。山の鼻からのコースは急登で、岩がゴロゴロしたコースで、登山道が荒れてしまったため道の整備と自然保護のため一時は通行禁止になりました。現在は、滑りやすい道のため山の鼻方面への下山は禁止になっています。途中の高天原付近が一番花が多く眺めも良いため、このコースの一番の見所の一つになっています。もう一つは森林限界がはっきりしているため、植生の変化を観察するのにも適したコースです。
	鳩待峠から山の鼻へ向かう木道
山の鼻から見た至仏山 およそ真ん中あたりに森林限界があります。	上田代の地糖に映る燧ヶ岳 森林限界は山頂近くで、遠くからだと森林限界ははっきりしません。
高天原から見た尾瀬が原　　　　　　　　　　　　 ここ迄登ると、尾瀬ヶ原が見渡せます。	至仏山(右が尾瀬ヶ原方面) 至仏山山頂を過ぎ、小至仏へ向かう途中で見た至仏山です。
至仏山頂から見た小至仏 右側(西側)はまだ残雪が残っています。	笠ヶ岳遠望 オヤマ沢田代から別れて笠ヶ岳へ続く稜線の先に､笠ヶ岳が見えます。
稜線下に残る 残雪 オヤマ沢田代手前には最後まで残雪が残ります。	オヤマ沢田代　　　　　　　　　　　　　　　　　　 鳩待峠側はこの辺りから上が森林限界です。

鳩待峠から山の鼻へ
ウワミズザクラ 房状に咲くサクラです。花盛りでした。実の季節も楽しめます。	オオバスノキ  小さな壺型の花を葉の下につけるツツジです。熟すと黒い実がなります。	ミネカエデ 尾瀬にもカエデ類は沢山ありますが、高山でよく見かけます。花が花火のように咲きます。
ギンリョウソウ　(2015.7.2) 腐生植物のため葉はありません。ちょうど花盛りでした。	ツボスミレ　(2015.7.2) 標高の高いところにもある､白くて小さなスミレです。。	ミヤマシキミ シキミの仲間ではありませんが、葉や茎が似ている事から名前が付いています。
ヤマトユキザサ 雌雄異株で緑色の花なので目立たないですが、ユキザサの仲間です。	ツクバネソウ  4枚の輪生する葉の中央に花が咲きます。	オオバタケシマラン　　　 葉の裏側に花が付きます。花柄が一ひねりするのが特徴の一つです。
タチカメバソウ　　 ワスレナグサに似た白い花です。良い感じに咲いている時期が少ない。	ナツトウダイ 目立たない花ですが、良く見ると三日月型の線体がついた変な形の花です。	イチヨウラン 一株に一輪だけ花をつける、花が大きめのランです。
コケイラン　　　　　　　　 良く見るときれいな花ですが、林の中でひっそりと咲いています。	ノビネチドリ　　　　　 小さいピンク色の花が集まって咲くランです。道端にあります。	エゾノヨツバムグラ　 似た感じのが多いですが、葉が丸くて4枚つきます。

尾瀬ヶ原(山の鼻から東電小屋)
ワタスゲ　　　　　　 　 この季節はワタスゲが見頃です。花では無くて、実が綿毛になったころが見頃です。	ゼンテイカ 別名ニッコウキスゲはやっと咲き始めです。鹿食害で数が減っているので、心配です。	オオバタチツボスミレ 紫色の濃い寒い地方のスミレです。もうほとんど終わっていました。
ヒオウギアヤメ この季節の主役の花です。網目模様が綺麗な淡青色の花です。	カキツバタ 前種に似ていますが、網目模様がなく色もはっきりします。	ミツガシワ 花弁の綿毛が目立ちますが、白くて５弁のきれいな花です。
オゼコウホネ 深い地糖にあるのであまり近くで見る事が出来ませんが、尾瀬を代表する花の一つです。	ギョウジャニンニク 山菜として有名になりましたが、小さな葱坊主のような花が咲きます。	トキソウ まだ咲き始めですが、鴇色の可愛いランの花です。
ナガバノモウセンゴケ 尾瀬の貴重な植物の一つです。北方系植物で主に北海道に分布しています。	ミヤマツボスミレ ツボスミレの変種で、湿原に生え、葉が丸く巻き込むような形になるタイプです。	チングルマ　　　　　 高山で良く見るチングルマは、雪解け直後に咲くので今の季節はもう実です。
ホロムイソウ　　　 尾瀬の貴重な植物の一つです。湿原の水が溜まっているようなところではまだ花が残ってます。	ヒロハオゼヌマスゲ 小さな丸い実が数段にかたまって付くタイプのスゲです。ほとんどの人が通り過ぎます。	オオカサスゲ 大型のスゲで春先には下の白い雌性の穂が目立ちます。上が雄性の穂です。

至仏山に生える高山植物
タニウツギ　　　　　　 雪の多い地方に生える色の濃いウツギです。低山にもあります。	ミヤマナラ　　　　　　 森林限界付近に多いミズナラの高山型で、葉が小型で背が低いタイプです。	ムラサキヤシオツツジ　　　　　　 雪国に多く、春先に葉を出す前に花が開きます。紫色が濃い感じです。
アズマシャクナゲ　 雪解けのころ咲き出します。花の色が濃く、葉の裏に茶色い毛が生えています。	ハクサンシャクナゲ 初夏のころに咲くのでまたやっと咲き始めでした。花の色が薄めです。	ハイマツ　　　　　　 森林限界を超え、亜高山地帯になるとハイマツが目立つようになります。
オゼソウ　　　　　　　　　　　 尾瀬の名を持つ他ではあまり見られない植物の一つです。この季節はまだ咲き始めです。	ホソバヒナウスユキソウ エーデルワイスの近縁種と言われる至仏山の代表的な植物です。	ジョウシュウアズマギク アズマギクの変種で、蛇紋岩地帯に生育する種類になります。
キバナイカリソウ 日本海側の蛇紋岩質の土地に生える、花が黄色くて葉にとげのあるのが特徴の植物です。。これが基本種になります。	クモイイカリソウ こちらは葉にとげがありません。至仏周辺にしかない植物です。葉の縁ヶ紫になるのが多いです。	マルバヘビノボラス ヒロハの変種ですが、ほふく性が強く、葉が小さいのが特徴です。
ジョウエツキバナノコマノツメ　 キバナノコマノツメの地方変種です。岩の隙間でたくさん咲いています。	ミヤマスミレ  オオバキスミレの高山型で、３枚の葉が輪生します。	チシマウスバスミレ 至仏山にもあると情報はあったのですが、､今回初めて見つける事が出来ました。
バイカノミツバオウレン　 日本海側に生える高山植物です。バイカオウレンの五葉です。	ミツバオウレン 　 高山植物としては普通にありますが、良い感じに咲いていました。	ムシトリスミレ　 地面が露出した所にひっそりと咲いていることが多いです。
ユキワリソウ　 雪田や岩場に生えています。葉の裏が白いのが特徴ですが、花の色も淡いです。	ハクサンコザクラ 雪田に多いよくある高山植物です。花の色も濃くて立派です。	ウラベニダイモンジソウ 蛇紋岩の岩の隙間にさく、葉の裏が紅紫色になるタイプです。表からでも葉の色が濃く見えます。
ハクサンイチゲ 高山植物の代表種の一つです。まだ咲き始めです。	シナノキンバイ　 黄色い大きな花はやはり目立ちます。やっと咲いてました。	ハクサンチドリ 赤紫の豪華な野生欄です。遠くに一つだけありました。
ヨツバシオガマ　 くちばし型の花が特徴ですが、まだ一番下の段が開き始めたところです。	タカネシオガマ　 高山の砂礫地に寸詰まりの花をつけますが、数は少ないけど見つかります。	ムラサキタカネアオヤギソウ　 緑色をしているタカネシュロソウの暗褐色タイプです。この時期はまだ花茎があまり伸びてません。
ホソバツメクサ　 高山の岩場では普通に見られます。葉が細くてあまり目立ちません。	コケモモ 一般的な高山植物の代表種の一つです。実をジャムなどにして売られています。	イワイチョウ　　　　 葉が銀杏形をしていて白い花を咲かせます。高山の雪田の代表的な植物です。
マルバイワシモツケ 日本特産種で蛇紋岩質の山ではよく見かける花です。ほとんど開いてない。	タカネバラ　　　　 日本特産の高山植物です。ピンク色の綺麗な花ですが、状態が微妙です。	カラフトヒメシャクナゲ　　 ヒメシャクナゲの高山型です。雪解け直後に咲くのでなかなか花期が合わない。
オオコメツツジ　 日本海側の高山植物です。コメツツジ(小さいツツジ)の大きいものって・・・。	ホンドミヤマネズ　 ホンドネズの変種。日本特産種で至仏山が南限です。	チングルマ 至仏山の上ではチングルマの花が残っていました。
タカネクロスゲ 　　　 高山にあるスゲの仲間です。	タカネザクラ 高山にある桜でこれが最後の花見になる事が多いです。	オガラバナ 春先にはカエデ類の花も見られます。立派な穂が立ち上がるのはオガラバナです。
シラネアオイ 各地で鹿に食べられていますが、尾瀬ではまだ残っているところがあります。	コミヤマカタバミ 山に生えるカタバミです。花びらに入るピンク色の筋が可憐さを感じさせます。	タケシマラン 葉に下で小さな花を咲かせているのはタケシマランです。
アオジクスノキ(ヒメウスノキ)　(2015.7.2) 雪どけ直後に咲く小さな壺型のツツジで、個人的に好きな花です。	イワナシ　(2015.7.2) 雪国で雪どけ直後に地面に這うように花が咲きます。	ガクウラジロヨウラク　(2015.7.2) 細い萼か長く伸びているのが特徴の釣り鐘状のツツジです。これもまだ先始め。
ヤマトユキザサ(左)とヒロハユキザサ(右)　　 どちらも雌雄異株の高山型ユキザザです。	ミヤマアオダモ　　　　 高山にあるアオダモの仲間で花が細かい感じです。	ミヤママタタビ　　　　 高山にあるマタタビで、夏には葉が白くならずに赤くなります。

ハッチヨウトンボ　 日本一小さいトンボ、です。これは雄で真っ赤な色をしています。、雌は目立たない地味な色をしてます。見つけたのですが、いい写真は撮れませんでした。	ハッチヨウトンボ　　　 まだ季節が早かったので、オスも真っ赤になりきっていないので微妙な個体もいた。これは地味な色の♀なのかな？。	オゼイトトンボ　　　　　　　　　　　　 イトトンボの仲間は難しくてよく分かりませんが、一番上の黒斑の形から一応識別しました。尾瀬の名を持つイトトンボです。瑠璃色と黒の模様が特徴です。
カオジロトンボ	ヨツボシトンボ	サナエトンボの仲間
ラクダムシ	ウソ