至仏山(盛夏)

高山植物の咲く初夏の至仏山

至仏山の山開きは７月１日。それ以前は鳩待峠からは立ち入り禁止になっています。冬山としては５月までは入れますがその時期は花がありません。以前、笠ヶ岳に行こうとしてその前に行ったら入れませんでした。おまけに梅雨入りしているので、なかなか天気に恵まれるとは限りません。それでも、２０１５年は初めてこんな季節に登ることができました。　至仏山は古い山で蛇紋岩で出来ていて、酸性土壌になるために、標高の割に森林限界が低くなっていてます。そのため、氷河期の北方植物が残っていたり、岩質によって変化した特殊な植物があったりと、植物の種類が多く花の山としても知られています。この季節の至仏山は、雪解け直後の花が一斉に咲き出す季節です。しかし、雪解けのタイミングで終わってしまう花もあるためこの時期を狙いました。ただ、残雪が多く残っているときもあり注意が必要です。

小至仏山山頂

鳩待峠側から登ってくると、オヤマ沢田代の辺りから高木が減り、この付近が森林限界です。	オヤマ沢田代の上部で岩盤が露出し、暖まりやすいため、お花畑が広がっています。	オヤマ沢田代を超えて小至仏を望むあたりは最後まで雪が残っている場所です。

森林限界を過ぎると、尾瀬ヶ原が見渡せます。

至仏山特産種＆高山植物

オゼソウ　　　　　　　　　　尾瀬の名を持つ他ではあまり見られない植物の一つです。この季節はまだ咲き始めです。	ホソバヒナウスユキソウ　( エーデルワイスの近縁種と言われる至仏山の代表的な植物です。これもまだ咲き始めでした。	チシマアマナ北方系の氷河期残存植物です。葉も花茎もとても細く、岩の隙間に生えています。雪解け直後しか見られません。

キバナイカリソウ日本海側の蛇紋岩質の土地に生える、花が黄色くて葉にとげのあるのが特徴の植物です。。これが基本種になります。	クモイイカリソウ　こちらは葉にとげがありません。至仏周辺にしかない植物です。葉の縁ヶ紫になるのが多いです。	クモイイカリソウ　これも葉にとげはありません。葉の縁の模様もありませんが､そこが区別点ではありません。

ジョウエツキバナノコマノツメ　キバナノコマノツメの地方変種です。岩の隙間でたくさん咲いています。	キバナノコマノツメ　雪田周辺で群生しています。葉の色や毛の有無が区別点です。	イワウチワ　日本海側では珍しくない植物ですが、尾瀬では今回初めて見つけました。

ミヤマダイモンジソウ高山型のダイモンジソウです。葉の裏が緑色ですが、表から見ても色の薄さが分かります。	ウラベニダイモンジソウ蛇紋岩の岩の隙間にさく、葉の裏が紅紫色になるタイプです。表からでも葉の色が濃く見えます。	ムラサキタカネアオヤギソウ緑色をしているタカネシュロソウの暗褐色タイプです。この時期はまだ花茎があまり伸びてません。

ユキワリソウ雪田や岩場に生えています。葉の裏が白いのが特徴ですが、花の色も淡いです。	ハクサンコザクラ雪田に多いよくある高山植物です。花の色も濃くて立派です。	マルバヘビノボラス　ヒロハの変種ですが、ほふく性が強く、葉が小さいのが特徴です。

ハクサンイチゲ高山植物の代表種の一つです。まだ咲き始めです。	シナノキンバイ黄色い大きな花はやはり目立ちます。やっと咲いてました。	ハクサンチドリ赤紫の豪華な野生欄です。遠くに一つだけありました。

ヨツバシオガマくちばし型の花が特徴ですが、まだ一番下の段が開き始めたところです。	タカネシオガマ高山の砂礫地に寸詰まりの花をつけますが、数は少ないけど見つかります。	ミネウスユキソウ　花の周りが雪をかぶったように見える高山型のウスユキソウです。

バイカノミツバオウレン　日本海側に生える高山植物です。バイカオウレンの五葉です。	ミツバオウレン高山植物としては普通にありますが、良い感じに咲いていました。	クモマニガナ　高山性のニガナです。岩場のあり、花数が少なく､花弁が多い感じです。

ミヤマスミレオオバキスミレの高山型で、３枚の葉が輪生します。	イワカガミ　高山の岩場では普通に見られます。	ムシトリスミレ地面が露出した所にひっそりと咲いていることが多いです。

マルバイワシモツケ日本特産種で蛇紋岩質の山ではよく見かける花です。ほとんど開いてない。	ウメハタザオ　　　　　　イワハタザオの蛇紋岩変種です。。葉が茎を巻いています。	キンロバイ　　北方系の蛇紋岩山植物と言われています。他ではあまり見られない花です。

タカネバラ　　　日本特産の高山植物です。ピンク色の綺麗な花ですが、状態が微妙です。	ツルツゲ　針葉樹林帯の林床にある目立たない木です。	ヒメスギラン　面白そうなんで撮ってみました。高山のシダです。

オオシラビソ多雪地の高山を代表する針葉樹です。長めの葉が立体的に密生しています。	コメツガ　亜高山帯を構成する主要な針葉樹の一つです。葉が米のように小さいという事です。	ホンドミヤマネズホンドネズの変種。日本特産種で至仏山が南限です。

ツツジの仲間

アズマシャクナゲ　初夏の高山に咲く淡ピンクの花です。葉の裏に茶色い毛があるのが特徴です。	ベニサラサドウダン真っ赤な釣り鐘状の花がぶら下がって咲きます。まだやっと咲き始めです。	ガクウラジロヨウラク　細い萼か長く伸びているのが特徴の釣り鐘状のツツジです。これもまだ先始め。

コケモモ　実の方が有名ですが、かわいいツツジの花です。	オオコメツツジ　日本海側の高山植物です。コメツツジ(小さいツツジ)の大きいものって・・・。	カラフトヒメシャクナゲヒメシャクナゲの高山型です。雪解け直後に咲くのでなかなか花期が合わない。

クロウスゴ難解なウスノキの仲間です。葉が丸っぽくて、花がおちょぼ口になります。稜線付近に多いようです。	オオバスノキ多雪地に多いかな。葉が楕円形で､花の先が開き、子房の部分に翼がありません。秋には黒い実がなります。	ウスノキ　　一番一般的かも。葉は少し尖り気味で、花は先が開き、子房の部分に翼が発達します。秋には赤い実がなります。

アオジクスノキ(ヒメウスノキ) 雪どけ直後に咲く小さな壺型のツツジで、個人的に好きな花です。	イワナシ　(2015.7.2) 雪国で雪どけ直後に地面に這うように花が咲きます。

高山周辺の植物

シラネアオイ雪が溶けたところから順に咲いてゆくため上ではまだ花が残っています。	ギンリョウソウ　腐生植物のため葉はありません。ちょうど花盛りでした。	ゴゼンタチバナ　葉が６枚で白い萼片が４枚、その中で小さな花をつけているます。

ツボスミレ　標高の高いところにもあります。	アカフタチツボスミレ尾瀬のは赤斑がはっきりと入っています。	ゴヨウイチゴ　　もう花弁は落ちて実になり始めています。

マイヅルソウ　花盛りです。	ワタスゲ　少しふわふわの毛になってきました。	ワタスゲ　湿原では果穂ですが、まだ花でした。

ツマトリソウ　雪田に近かったから湿原の植物でした。	タケシマラン　　まだ残っ花盛りでした。	ツクバネソウかろうじて残っていました。

エゾノヨツバムグラたくさん咲いていました。	タテヤマリンドウ尾瀬のは花が空色です。	ナナカマドちょうど花盛りです。

タカネザクラ　高山に生える桜です。今年最後の桜です。	オオカメノキ　春先は白い花で、秋には赤い実で楽しませてくれます。	ジムグリちょっと遅かった。おとなしい蛇ですからすぐに逃げてしまいます。