新緑の尾瀬

　毎年、６月頃になると尾瀬は山開きをします。雪解け直後はミズバショウが花盛りで、俗に言うミズバショウシーズンで、尾瀬が最も観光客で賑わう季節です。とは言っても、休日しか来られない人も多く、この時はオーバーユースになっています。道は木道しかないので、歩く歩道のような状態とも言われています。そんな時期を避けるため、私が尾瀬にやってくるのは混雑が一段落した中旬あたりが多くなっています。この頃はワタスゲが実をつけ始めるワタスゲシーズンで白い綿毛が湿原を覆っています。人も少なくて尾瀬の雰囲気を満喫できます。６月当初は上田代が雪に覆われていたりすることもあのますが、中旬になると、もう道にはほとんど雪は残っていません。
　2011年は尾瀬沼、2014年は尾瀬ヶ原、2015年は天気が良かったので、久しぶりに鳩待から入り尾瀬ヶ原から尾瀬沼を抜けて大清水に抜けてみました。さすがに尾瀬沼周辺の白砂峠や三平峠にはまだ雪がありました。年によって色々コースを変えています。
　　２０１４年は、春の訪れが早く、もうレンゲツツジなどの初夏の花が咲き始めていました。毎年同じ頃に来ても様子が違うのが、また楽しみの一つとも言えます。
至仏山 　　　　　　　(2015.6.15)
新緑の季節の至仏山はまだ登山禁止です。山頂付近には雪が残り、登山者が高山植物を踏みつぶしてしまう可能性があり、環境保護の観点から禁止になっています。登山は７月からです。		 燧ヶ岳　　(2015.6.15)
尾瀬ヶ原側からだと燧ヶ岳はもう新緑が始まっているように見えますが、まだ残雪は多く残っています。森林限界は山頂付近にあり、下からだと森林内の様子は分かりません。
鳩待口は、戸倉で乗合バス(タクシー)に乗り換え５０分ほとで鳩待峠まで来ます。峠には鳩待山荘があり宿泊も可能です。ここから約１時間ほど坂を下っていくと尾瀬ヶ原に着きます。 
乗合バスで到着した尾瀬の入口鳩待峠です。ここからが特別保護地区になります。　　　　　　　(2014.6.21) 尾瀬ヶ原の入り口にあたる山の鼻に山の鼻ビジターセンター 。いつも情報収集に立ち寄ります。　　　　(2014.6.21) 新しく設置された尾瀬国立公園の地図 です。日光国立公園から独立しました。　　　　　(2014.6.21)
大清水口は、大清水から約２時間半ほど登ると三平峠に着き､尾瀬沼が見えます。季節によっては電動バスで途中の一杯清水まで来られるので一時間ほど時間が短縮できます。
日光国立公園から尾瀬国立公園へ。看板は東京電力。ダム計画もあり、多くは東電の所有になっていいて福島原発の補償問題で売却の話もあり大変な一年でした。　　　　(2011.6.19) 今の年は雪が多くて、いつもより１週間遅く訪れたのに、まだまだ三平峠には雪が沢山ありました。　　　　　　　　(2011.6.19) 対岸の沼尻休憩所。白砂峠を越えれば尾瀬沼に着きます(約２時間あまり)。ナデックボを通って燧ヶ岳への登山道も延びています。福島県側だから、名物は檜枝岐そばかな？。　　(2011.6.19)
尾瀬ヶ原は至仏山と燧ヶ岳の間に広がる高層湿原です。白砂峠を越えると２００mほど高いところにある尾瀬沼に行く事が出来ます。
見本園(山の鼻田代)のミズバショウ。遅くまでは名が残ります。見本園は自然の湿原ですが、花の種類が多く見本園と呼ばれています。(2015.6.15) 上田代から見た至仏山にはまだ雪が残っています。この季節は休日でも木道に人がいない時があるくらい、尾瀬も静かです。(2014.6.21) 牛首前にある地糖です。このあたりまでが上田代で、牛首の向こうが中田代です。上田代は水位が高く地糖がたくさんあります。(2014.6.21)
中田代から見た至仏山です。手前のもっこりした山が牛首と呼ばれています。牛首付近を流れる上の大堀側を境にを境に中田代になります。 (2014.6.21) ワタスゲのシーズンが静かな尾瀬を楽しめる一番好きな季節です。まだ燧ヶ岳までは遠いです。(2014.6.21) もう終わっていますが、有名なミズバショウのスポットの下の大堀川(中田代)です。 ここが尾瀬ヶ原のほぼ真ん中あたりです。　(2015.6.15)
真ん中の一番高いところが景鶴山です。昔の道はあるようですが現在は登山禁止です。 (2015.6.15) 尾瀬ヶ原と尾瀬布を繋ぐ白砂峠です。春先にはまだ雪が残っている事が多いようです。 (2015.6.15) 三平下から見た燧ヶ岳です。こちら側から見ると燧ヶ岳に雪が残っているのが分かります。　(2015.6.15)


尾瀬ヶ原＆尾瀬沼の植物
ミズバショウ　　　　　(2015.6.15)
白い部分は仏縁包と言います。花は中にある穂にたくさんついています。		 まだ木道脇のミズバショウが花盛りでした。ここまで残っているのは久しぶりです。　　(2015.6.15) リュウキンカ　　　　　(2015.6.15)
ミズバショウとともに有名な、花茎が立ち上がるのか特徴の立金花です。
ワタスゲ(2014.6.21)
2014年はほとんど実になってました。今年はまだ白い穂になっていなくて見栄えがしません。		 サギスゲ　　　　　(2014.6.21)
花の時期は目立ちません。ワタスゲよりはちょっと遅れて三つの綿毛をつけます。		 ホロムイスゲ　　(2015.6.15)
湿原の植物では代表種になる程たくさんありますが、難しくて自信はありません。
ホロムイソウ　　　(2014.6.21)
尾瀬では普通ですが本州では珍しい北方系の花です。夏になると正四面体の実がつきます。		 ナガバノモウセンゴケ　(2014.6.21)
これも本州では珍しいです。夏になると白い花が咲き、トンボがよく捕まってます。		 ヤチヤナギ　　(2015.6.15)
ヤマモモ科と言うちょっと珍しい植物の仲間です。今年はまだ葉も展開しはじめで花も残ってました。
タテヤマリンドウ　　(2014.6.15)
高山で春先に咲くリンドウの仲間です。尾瀬では紫色のものばかり見かけます。		 白いタテヤマリンドウ　　　(2014.6.15)
尾瀬では珍しい白いタイプ。立山では白花がほとんどで、青いのはミヤマリンドウになります。		 タテヤマリンドウ　(2014.6.21)
今回見つけたのはピンク色のです。ちょっと遠かったけど。
ズミ　　　　　(2014.6.21)
いつもなら咲き始めですが、この年はそろそろ終わりかけています。		 ミツガシワ　　　　(2014.6.21)
高山の湿原の代表選手です。今回は地糖をバックに撮ってみました。		 ミツガシワ　　　　(2015.6.15)
咲き始めです。葉の形から名前が来てますが、毛の密生するの花も特徴的です。 
 オゼタイゲキ
別名オゼヌマタイゲキですが、ハクサンタイゲキの変種という事落ち着いてしまいました。		 オゼタイゲキ
良く見ると小さな花が咲いています。黄色い腺体と実の形が特徴になります。		 ナツトウダイ　　(2015.6.15)
ちょうど花を咲かせてました。三日月型の線体が特徴です。
 チングルマ
高山でよく見かけますが、湿原にも生えています。		 テングクワガタ　　(2014.6.21)
亜高山に生える植物です。これもなかなか花期にぶつからない花でした。		  コテングクワガタ　　
本来のテングクワガタはほとんど見つからず最近はこればかりになっている外来種です。
 ツマトリソウ(2014.6.21)
湿原に生える品種はコツマトリソウで花が小さく、葉の先が尖らず、赤くならないらしい。		 マイヅルソウ　　　(2014.6.21)
湿原では乾燥が進んで木が生えているところの下などで見つかります。		 ミツバオウレン　　　(2014.6.21)
高山植物としてはよく見るものです。登山道脇の苔の中に生えていることが多いです。

 スミレの仲間
オオバタチツボスミレ　　(2014.6.21)
花か大きくて色も濃い湿地に生える北方系のスミレです。		 ミヤマスミレ　　(2015.6.15)
名前通りの高山のスミレです。紫色のすっきりしたスミレです。		 チシマウスバスミレ　　　(2015.6.15)
花が小さくて目立たない、湿地に生える北方系のスミレです。丸い葉と縁に毛があることなどが特徴です。
ツボスミレ(ニョイスミレ)　　(2015.6.15)
湿地なら平地でも高山でもある一般的な白いスミレです。		 シラユキスミレ　　(2015.6.15)
ツボスミレの花の唇弁の紫条がなくなったタイプです。		 ミヤマツボスミレ　　(2015.6.15)
ツボスミレが高山湿地に適応したもので、葉が巻くことと地面を這うことなどが特徴です。
 
オオタチツボスミレ　　(2015.6.15)
雪の多い地方に生えるスミレです。距が白く葉の葉脈がはっきりします。		 オオバキスミレ　　(2014.6.21)
これも多雪帯に多いスミレです。黄色いスミレはちょっと得した気分になります。		  
ツツジの仲間
レンゲツツジ　　　　(2014.6.21)
２０１４年は咲いていましたが、２０１５年は１０日ほど花が遅れています。		 ムラサキヤシオツツジ　　(2014.6.21)
赤紫色が強い雪の多い地方に生えるツツジです。高い山にあります。		 ヒメシャクナゲ　　(2015.6.15)
花は壺型ですが、葉はシャクナゲに似ています。これでも立派な木です。
アオジクスノキ　　(2015.6.15)
枝先に小さく白い壺型の花が咲きます。雪どけ後に足下で咲いています。		 コヨウラクツツジ　　(2014.6.21)
花が赤くて小さい壺型のツツジです。、いつもピント合わせには苦労します。		  ガクウラジロヨウラク　　(2014.6.21)
淡ピンク色の壺型のツツジです。トゲトゲした萼がとても目立ちます。
カエデの仲間
ミネカエデ　　(2014.6.21)
高山の代表的なカエデです。線香花火のような花を上向きに咲かせる。		 コハウチワカエデ　　(2014.6.21)
天狗の団扇のような葉をしたカエデです。花は下向きにしだれ柳のように咲きます。		 オガラバナ　　　　　　　　　(2014.6.21)
カエデにしては葉の切れ込みが浅く、上向きに穂状の花を咲かせます。
 
ウリハダカエデ　　(2015.6.15)
木肌が瓜のような模様のあるカエデです。下向きに穂状の花を咲かせます。		  

森林や草原の植物
キヌガサソウ　　(2015.6.15)
道沿いで咲いていました。		 シラネアオイ　　(2015.6.15)
立派な株がありました。それも花盛り。		  サンカヨウ　　(2014.6.21)
山地に生える高山植物です。
 イチヨウラン　
葉が一枚の野生欄です。なかなかで会うことの出来ない植物です。		 オオサクラソウ　
名前通りの大きなサクラソウです。 今年は昨年よりも数も多く近くで咲いていました。		 ズダヤクシュ　　
小さな花が房になって咲いています。目立たないですが亜高山帯の植物です。
エンレイソウ　　(2015.6.15)
花びらのないエンレイソウです。		  シロバナエンレイソウ
白い花びらの付くエンレイソウです。		 ムラサキエンレイソウ　　(2014.6.21)
シロバナエンレイソウの紫花の品種です。
ノビネチドリ　　(2014.6.21)
山の鼻に咲いていました。ハクサンチドリよりも株が大きくて葉が波打っています。		  ヒロハユキザサ　　(2014.6.21)
ブナ林から針葉樹林帯に生える大きめのユキザサです。雌雄異株で、これは雄株です。		  ヒロハテンナンショウ　　(2015.6.15)
ブナ林に生える水芭蕉と同じ仲間です。薄緑色をした仏炎包の白条が目立ちます。
コミヤマカタバミ
高い山に咲く白い花のカタバミです。		 ツクバネソウ　　(2015.6.15)
ユリ科なのになぜか４の倍数。おっと新しい分類ではメランチウム科で分かれてました。		 クルマバツクバネソウ　　(2015.6.15)
葉が８枚輪生するツクバネソウです。よく見ると花も違います。
クルマバソウ　　(2015.6.15)
小さな花ですが、白い花は目立ちます。細い葉が８枚ほど輪生してつきます。		 ゴヨウイチゴ　　(2015.6.15)
葉が５枚ある草イチゴの仲間です。花は目立ちません。		 タチカメバソウ　　(2014.6.21)
わすれな草の仲間で咲いてないことが多いのですが、昨年は・・・。
ヒメイチゲ　　　　(2015.6.15)
春先に５弁の小さな花が咲きます。金平糖のような実がなります。		 ニリンソウ　　(2015.6.15)
早春の植物として有名なものです。輪生する葉に葉柄がありません。		 サンリンソウ　　(2014.6.21)
花弁がとんがっているのと、輪生する葉に葉柄があるのが特徴です。
 ギンリョウソウ　　(2014.6.21)
やっと芽が出たばかりです。ブナ林内はよく生えてます。		 カラフトダイコンソウ　　(2014.6.21)
見慣れるとよく見つかります。		 ゴゼンタチバナ　　
葉が6枚輪生して真ん中に白い花が咲きます。
タカネザクラ　　(2015.6.15)
標高の高いところに咲く桜です。毎年最後に見る桜になります。
 チシマザクラ　　(2015.6.15)
タカネザクラの変種で、葉柄や花柄などに毛があることです。		 コマガタケスグリ　　(2015.6.15)
実が食用になるスグリの仲間で、日本特産種です。木曽駒で発見されました。
シウリザクラ　　(2015.6.15)
葉柄が長くて葉の元が窪み、花序が大きく長いが山の鼻で花盛りでした。		 ウワミズザクラ　　(20141.6.15)
低い山にもあり、アンニンゴとも言われ、果実酒にしたりします。ちょっと花序が短いです。		 ヒロハツリバナ　　(2015.6.15)
ブナ帯の植物です。葉が広く、花弁が４つなどが特徴です。
オオカメノキ  ホオノキ ナナカマド 

ヒダリマキマイマイ　　　　　　　(2015.6.15)
ミズバショウの葉の上にいました。背中にはゴミムシ類(？)がいます。		 モリアオガエル 　　　　　　　(2015.6.15)
まだ寝ぼけ眼のモリアオガエルが木道脇にいました。		 ホオアカ　　　　(2015.6.15)
湿原の中で繁殖している鳥です。ほおの部分が赤くなっています。